仕事が要る、地面に足をつける

田舎に行ってきた。

その町が田舎だとは思っていなかったのに、行ってみたら田舎になっていた。びっくりした。

この道はこんなに狭かっただろうか、この林はこんなに荒れていただろうか。訪れたのが冬で、どんより曇っていたのがまた悪かった。

まるで時代の風に吹き残されてしまったような、昭和や平成をこびりつかせた建物が、古ぼけて残っていた。町並みを眺めては、もの悲しくなる。住んでいる人からしたら、余計なお世話だろうが。

この町で、私はこんなに寂しかっただろうか。

さびれた街並みのなか、高級なホテルと市役所だけが新しかった。ピカピカのターミナルで次の便を待ちながら、この町には仕事が必要なんじゃないかと思う。仕事、人の流れ、経済だ。

それこそ大きなお世話か。この町で暮らすなら、きちんと自分で動かせる仕事が必要だと思う。私が暮らすなら。

寂れた町がこんなにも悲しいのは、私がここで暮らしたいと思っていたからだった。

とりとめもなく仕事について考えてみるけど、そもそも、寂れていく町に暮らしたいのはなぜだろう。

何もかもが不必要な、大きなお世話で余計な行動なんじゃないかと思う。でも多分、生きるって必要ないことの集合だ、きっと。