満たすべきではなかったと思う、年が明ける

腹を満たす、舌を肥やす、目を養う。
自己研鑽や成長は「よいもの」とされがちだけれど、一度満ちると、不足が気になるようになってしまう。

満たされていない状態は、つらい。
美味しくない食事やつたないあれこれを摂取するのは、つらい。

完璧な正方形だけが美しいわけではなく、欠けやゆがみが当たり前にあるのが当たり前なのだと思う。正解は一つではない、完全は唯一の価値じゃない。思っているのに、許容できない。

心のこもった料理が美味しくなかった。もらったプレゼントがダサかった。そんなことは考えたくなかったと思う。

満たされる経験を重ねるたび、基準値が上がり許容範囲は狭くなる。もしかすると自分を満たすべきではないのかもしれないし、成長と称して世界を広げるのは「幸せ」ではないのかもしれない。

研鑽と称して「よいもの」を知るたびに、不足ばかりが目についてしまう。

整えられた完成形を、正しいものを、レベルの高さを。

そんなことは考えたくなかった。
来年はもう少し、つたなさを含めた物事を愛せるようになりたいと思う。年が明ける。

仕事が要る。そしてご飯を食べねばならない。

その土地に住むためには、その土地の仕事が要る。リモートワークもいいけど、生身の人間と雑談できる環境を作るには、その土地で仕事をするのが手っ取り早いと思う。コスパの問題が解決できるなら、店員さんと顧客の関係でもいい。

他人と接触する必要があるシチュエーションを作る。接触は、日常的に反復でき継続性があること。先述のとおりお店でもいいんだけど、仕事がいちばん効率的だと思う。続けるとご飯が食べられるし。

観光地の悪いところは、「観光地価格」と「地元価格」が分かれてしまっていることだ。サービスの利用は、教育に似ている。それも無意識の、刷り込みに近い教育だ。

私たちはサービスを利用し、お金を払う代わりに価値の提供を受ける。観光地価格の商品のユーザーでない地元の人は、観光地価格のサービスを知らない。知らないものは提供できない。

土地固有の観光資源を潤沢に使ったサービス。提供側にも享受側にも回れない地元の人は、いったいどこに行けばいいんだろう? サービスに触れる環境を整えることも、教育だと思う。

みたいなことを考えて、しかし私にも知らないことがたくさんあるぞと思う。仕事が要る、作り方は知らないけど。大人なので、セルフ教育が必要なのだと思う。

仕事が要る、地面に足をつける

田舎に行ってきた。

その町が田舎だとは思っていなかったのに、行ってみたら田舎になっていた。びっくりした。

この道はこんなに狭かっただろうか、この林はこんなに荒れていただろうか。訪れたのが冬で、どんより曇っていたのがまた悪かった。

まるで時代の風に吹き残されてしまったような、昭和や平成をこびりつかせた建物が、古ぼけて残っていた。町並みを眺めては、もの悲しくなる。住んでいる人からしたら、余計なお世話だろうが。

この町で、私はこんなに寂しかっただろうか。

さびれた街並みのなか、高級なホテルと市役所だけが新しかった。ピカピカのターミナルで次の便を待ちながら、この町には仕事が必要なんじゃないかと思う。仕事、人の流れ、経済だ。

それこそ大きなお世話か。この町で暮らすなら、きちんと自分で動かせる仕事が必要だと思う。私が暮らすなら。

寂れた町がこんなにも悲しいのは、私がここで暮らしたいと思っていたからだった。

とりとめもなく仕事について考えてみるけど、そもそも、寂れていく町に暮らしたいのはなぜだろう。

何もかもが不必要な、大きなお世話で余計な行動なんじゃないかと思う。でも多分、生きるって必要ないことの集合だ、きっと。

時間が溶ける、バーチャルな友達とつながる

友人に「今度そっちに行くよ」と言うと、「何年ぶりかな?」と聞かれる。

数えてみると、丸2年ぶりだった。

よく遊んでいる気がしていたけど、あの思い出やあの会話は、すべてネット上の出来事だった。びっくりした。

飛行機に乗ればすぐにだって会える。アプリを開けば、いつでも話せる。近い気がしていたけど、2人してとても遠い所にいた。

それでも2年もの間、まめにコミュニケーションが続いたことに驚いている。「私たちバーチャルな関係だったのね」と言い、二人して笑った。

バーチャルでも友達でいられる。リアルで顔を合わせたとして、別に手を繋ぐことも一緒に寝ることもなく、彼女とは、画面越しのと全然変わらない会話をするのだと思う。

友人に会えるのは嬉しい。会うことの意味って何なんだろう。物理的な距離が近づいたとして、交わす情報に劇的な変化はない気がしている。

今日は久しぶりにペンタブレットを起動する。気付いたらこんな時間になっており、1日が短すぎて、焦る。

寒くて震えている、髪を伸ばそうと思う

家の外で仕事をすることが増えてしまった。

しばらく移動することはないと思っていたので、ノートパソコン含め、お出かけグッズを手放してしまった後だというのに。自分のやりたいことなので致し方なく、再び環境を整えることにする。

「スマホがあれば仕事ができる」ってホリエモンが言ってたけど、スマホのみで一泊二日を過ごすのは厳しかったので、まずはノートPCを購入したい。

あと、かばん。

1 1泊分の着替えが入ること

2 一眼レフのカメラとレンズが1本入ること

3 三脚(折りたたんで40センチ位)が入ること

4 B5サイズのノートが入ること

5 フェイスタオルが1枚入ること

6 ノートPCかタブレットが入ること

7 外付けのマウスとキーボードが入ること

を、満たすかばん。

肩が軽い生活にすっかり慣れてしまい、本当はタブレットやノートPCは持ち歩きたくない。1キロ未満の、薄くて軽いPCを探そうと思う。そしてキーボード類は有線がいい。少し嵩張るし格好悪いけど。無線はまだちょっと遅いことが分かったのが、おうち時間の収穫だった。

というわけで、ずっと気になっていたミレストのかばんを巡回している。
カメラまで詰めてしまうには、ちょっと小さいかなあ。

ステイホームからずっと髪を短くしていたのだけど、再び外に出るようになって、冬が寒いことを思い出した。

来年は髪を伸ばそうと思う。暖かく、軽く、また色々な所に行けたらいい。とても浮ついている。