メールを打つのが遅い。気づけば30分経っていた! といったことがざらにあり、なお悪いことに、枝葉は異なれどメールの内容はほぼほぼ同じ=繰り返し、同じところで日々足踏みをしている。
足踏みしている暇はないんだ、ということでテンプレ入力ツールを探したところ、ネットの集合知に、PhraseExpressというアプリが便利だよ、と教えてもらった。
さっそく使い始めたところ、文章のテンプレ化はなるほど便利だ。30分かけていた文章がキータッチ3回でほぼ仕上がる。あの時間はなんだったのか、という悔しさや悲しみに似た感情が湧き上がってきたので、「まぁ落ち着いて」と心に蓋をした。
以前、仕事をご一緒した人に、「メールは長文でガッと送るより、都度都度キャッチボールをした方が相手とのすり合わせがしやすいよ」と習ったことがある。確かに、テンプレだけで解決できる物事はそう多くないから枝葉のアレンジが必要になるのだ。
同時に、触れ合った回数分、我々は他者に親しみを感じるのだろうなと思う。挨拶をする、お礼を言う、ちょっとした質問に快く答える・答えてもらう。そうやって築かれる関係性が間違いなくあり、仲良くなることは無上のメリットに違いないのだけれど、繰り返しによる疲弊だって存在している。
繰り返し繰り返し、毎日の挨拶に30分かけていたのが「おはよう」の一言になったと考えると、それはそれでハッピーなのかもしれない。
軽やかに積み重ねていくこと、軽やかに繰り返せること。メールの省力化によって、今後、私の周りの総親しみ値のようなものが底上げされると嬉しい。
アイキャッチは、工房でつくった拭き漆のお箸。