ボトル底2mmのシャンプー

ボトルのシャンプーが切れてしまってだいぶ経つ。もちろんとっくに新しいボトルを開けて使っているが、底に2mmだけシャンプーの残ったボトルが、新しいボトルと並んでずっとある。

薄めたり逆さにしてゆっくり落ちるのを待ったりと、使い切る方法は知っているのに、どうもシャンプーボトルに手が伸びない。首のスクリューキャップをひねって、ポンプ部分を外して垂れてくるシャンプーをすくったり薄めたり……そんな手順を想像だけして、億劫さに気が遠くなりそのまま風呂を出る。

私のお風呂グッズは銭湯方式なので、毎回毎回、入浴のたびに空のボトルと新しいボトルを浴槽のふちに並べては風呂上がりに部屋に持ち帰る、といった二重作業をしている。

部屋で、「今日も空のまま持ち帰ってしまった」、翌日には「今日は使い切ってボトルを捨てたい」と、思うだけは毎日思っている。

そもそも、浴室の湯気がやる気を溶かすのがいけない。または、お風呂上がりに待ち受ける、面倒くさい作業たちが心をくじくのがいけない。本当はきちんと生活したいのだと、やはり思うだけは毎日思っている。

今日も私は生きているので、食事をして歯を磨き、皿を洗い入浴したら髪を乾かし、ついでに保湿や洗濯など、人生に付随するあらゆることに気力を傾けなくてはいけない。動作のたびに削って削って、ボトル底2mmのシャンプーに充てる気力が残る日はいつになるのか。

ボトルごと捨ててしまう日の方が、早く訪れるかもしれない。(頑張りたい)